足底腱膜炎(足底筋膜炎)についてACTでの治療法まとめ
今日は足底筋膜炎(足底腱膜炎)について。
当院にも足底腱膜炎で悩まれている患者さんは多く来られています。
一度他の整骨院などで見てもらっていたが良くならず、来院。というパターンが多い症状でもあります。
慢性化しているとなかなか一回で痛みが消失する。ということはありませんが、継続して治療していくことで日々改善が見られるケースがほとんどです。
当院では、
・あん摩マッサージ指圧師資格を持っているので、マッサージ治療が可能です。足底腱膜そのものではなく、周囲の筋肉を緩めていくことで改善していくことが多いです。(整骨院の先生=柔道整復師はマッサージは行なえません。)
・鍼灸師資格を持っているので鍼灸での治療が可能です。足底腱膜は非常に硬い組織なので、徒手で直接的に緩めたりなどは現実的に不可能と言えます。
・スポーツシューフィッターマスターとして、シューズの履き方インソールの調整などの指導によって改善するケースも多いです。
・テーピングによって一時的な痛みの軽減ももちろん可能です。
足底腱膜の解剖について
足底筋膜(Plantar fascia)は踵骨結節付着部から中足骨に位置する腱組織です。
足底腱膜炎は筋腱付着部の障害であり、運動で発生する強い力学的エネルギーに常にさらされているため、損傷を受けやすい環境に置かれています。
足底腱膜は中央・外側・内側の3つから構成され、中央構成はアキレス腱や足底筋の影響を多く受けることから、アキレス腱や足底筋の状態が悪いことで足底筋膜炎になるケースも多いようです。
ふくらはぎの張り感が関係ありそうってことですね。
ふくらはぎが硬いから足底に負担がかかるのか、足底に負担がかかるとふくらはぎも硬くなるのかは、難しいところですね。
足底腱膜は、足が体重を支えているときに張力を受けて、足のアーチの支持に貢献しています。
足底腱膜が損傷するまで負荷をかけた実験では踵骨近位付着部での損傷が多く、足底腱膜炎の好発部位と一致します。
舟状骨が落ち込んでいて扁平足になってると足部の機能不全や足底筋膜炎につながる可能性がある。
扁平足になると物理的に足底筋膜が伸ばされている状況が長く続くので、負担が大きいだろうと予測できますね。
足底筋膜炎の診断方法について
足底筋膜炎の初期症状として朝一歩目の踵痛と安静後の歩き始めの踵痛があること、夜間のこむら返りなどが自覚症状として感じやすいものです。
慢性化してくると、歩行時常に痛みを感じるようになってきます。
見た目では、腫脹・発赤・熱感を持っていることが少ないことも特徴です。
逆にいうと、明らかな腫脹・発赤・熱感がある場合は踵骨疲労骨折・踵骨骨髄炎・セーバー病(Server病)・足底腱膜線維腫症・Heel pad atrophyなどの疑いもあるので、整形外科でのレントゲン診断などが必要になってきます。
足部に愁訴を有する患者の11〜15%を占めるという報告もあり、アスリート以外にも多く発症する疾患です。
踵部痛を有する原因疾患の中で最も多いとされています。
足底腱膜炎の多くのパターンでは、保存療法(とにかく休む)が選択され、80〜90%の例で症状が改善するとされています。
しかし、アスリートではできるだけ休みたくない、休めないアスリートも多く、そのような方に多く来院頂いています。
足底腱膜炎の保存療法について
足底腱膜炎の患者は足に体重をかけることができない状態で来院される事が多いです。
足底筋膜のストレッチに合わせてふくらはぎも同時にストレッチすると良い。
踵の痛みでは、週2回治療を受けるよりも、毎日のストレッチの方が効果的なのではないかというようなデータも出てきています。
もちろん、併用するのがより良いということなのでしょうが、自分でできることもたくさんあるということですね。
このような論文も出てきたので、やはり足底だけをケアするのではダメで、その上のふくらはぎも同時にいい状態に保つ必要があるということでしょう。
論文ベースですと、アキレス腱のストレッチ・足底腱膜のストレッチを20秒を5回、1日2セット程度行うプロトコルが一般的のようです。
アキレス腱・足底腱膜はストレッチでは伸びないという報告も多くありますが、ストレッチで効果が出ているということは厳密には腓腹筋や足部内在筋などがストレッチされる事が効果的ということですかね。
3Dプリンタで作成したヒールカップはかかとの痛みに効果的である。
こちらの論文では、足の装具の踵の痛みに対しての効果は認められなかったとあります。
3Dプリンタだったから効果があったのか、インソールなどといっても種類は様々ですから、見解が一致しづらいのかなという印象です。
足底腱膜炎に対する局所注射での治療について
足底腱膜に対する局所治療にはステロイド注射とヒアルロン酸注射があります。
足底腱膜炎に限らず、難治性または症状の強い筋腱付着部障害に対して、ステロイドの局所注射が行われています。
ステロイド注射は短期的(8週以内)には消炎鎮痛の効果があるが、1年後は他の治療法よりも効果が劣る報告もあります。
また、副作用として腱の萎縮や断裂の報告もあるので、ステロイド注射をする際は担当医としっかりと話し合う必要がありますね。
ヒアルロン酸での局所注射は現在私が調べた範囲では強い副作用は報告されておらず、足底腱膜炎に限らず筋腱付着部へのヒアルロン酸注入は一定の効果を得ているようです。
足底筋膜炎には徒手療法・超音波・運動療法は効果的だけど、鍼に電気を流す治療法も組み合わせるとより効果的なんじゃないか。
個人的に普段から有効だと感じていた方法がこういう形で支持されると嬉しいですね。
ただ、足底筋膜に鍼を打つのは結構痛いので、避けれるものなら避けようと思ってます。
しかし、この論文では、明確に言い切るためにはもっと大規模なプラセボ群との対照比較実験が必要と言われています。
足底筋膜の厚さに関するものも多く出てきています。
この論文では女性は足底筋膜炎になると足底筋膜が厚くなると報告されています。
随時追記していきます。2019/01/09