オスグッド・シュラッター病について
オスグッド・シュラッター病は、脛骨結節骨化核および表層の軟骨が部分的に剥離骨折を起こしたものであり、骨成熟と脛骨結節に対する伸長ストレスとのアンバランスによって発症する。簡単に言えば、骨が完全に成熟しきっていない若年層で骨の表層が剥がれることで痛みが発生します。
脛骨結節の発育過程は以下の4期に分類される
①cartilaginous stage:骨化核の出現前
②apophyseal stage:舌状部に骨化核が出現
③epiphyseal stage:脛骨結節の骨化が脛骨骨端に癒合しているが、脛骨結節の表層は軟骨で覆われている。
④bony stage:骨端線が閉鎖
②や③では脛骨結節部が軟骨や骨化核で形成されているため、脆弱である。
②は身長の年間伸長量が急激に増加する時期とおよそ一致し、骨の成長に対して筋腱の成長が追いつかず、相対的に筋腱が短縮しやすい。
それにより脛骨結節への伸長ストレスが増大しやすく、オスグッドのリスクが高くなる。
当院にオスグッドの症状を持って来院するジュニアアスリートの多くはオスグッドと整形外科で診断されてからの来院が多いです。
痛みの主訴は膝前面の疼痛である。
膝の前側が痛いという場合、オスグッドを疑います。(もちろん、他の傷害の可能性もあります。)
初期にはスポーツ活動後の疼痛のみであるが、重症度が進むとスポーツ活動中や開始前にも疼痛が出てくるようになり、スポーツ活動に支障が出てくる。
炎症が増大してくると、日常生活や安静時にも疼痛が出現する。
普段は大丈夫だけど運動した後は痛い→運動中も痛いけどなんとか出来る→運動中痛くて出来ない→運動してなくても常に痛い。という順番で悪化していくケースが多いです。
オスグッドの診断にはX線(レントゲン)が使われ、病期は以下の3期に分けられる。
初期:脛骨結節の淡い透亮像を示す
進行期:骨片の分離もしくは分節化を示す
終末期:骨片の遊離を示す
圧痛部位は必ずしも脛骨結節とは限らず、膝蓋腱部や膝蓋下脂肪体に及ぶこともある。
オスグッドの治療は、一般的には保存療法が選択されることが多い。とりあえず休みましょう。というやつですね。
その際には脛骨の発育段階を考慮する必要があり、特にapophyseal stageとepiphyseal stageでは遺残骨片を形成せずに治癒が得られることが最終目標となる。
apophyseal stageは、炎症所見や運動時痛の消失に加え、脛骨結節の圧痛が消失するまではスポーツ活動への復帰は許可しないことが推奨されている。
ehiphyseal stageでは、骨化核が剥離してくるリスクはほぼないため、脛骨結節に圧痛が残存していても運動時痛が消失すれば徐々に運動を開始していく。
bony stageでは骨の発育は完了しているため、epiphyseal stage同様に炎症所見が消失した段階で、運動時痛をコントロールしながら徐々に運動を開始する。ただし、遺残骨片が既に膝蓋腱内に遊離してしまっている場合、疼痛が長期化することも多く、外科的な処置が必要なこともある。
このように、オスグッドと言ってもステージによって必要な対応は異なるため、知り合いがこうだった、友人がこうだったという情報だけを鵜呑みにして運動を始めてしまうと、必要以上に長期化していく恐れがありますので要注意です。
リハビリテーション
オスグッドではX線(レントゲン)により脛骨の発育段階を確認できればいいが、画像がなければ年間の伸長量などで発育段階を把握する。
膝蓋腱や脛骨結節に対する伸長ストレスを引き起こす大腿四頭筋の柔軟性の確保は必須。
重心後方化に対する影響するアライメントとして、スクワット姿勢を取ったときの下腿前傾不足、骨盤後傾、胸椎後弯、肩甲骨外転などが関連するので、確認する。
ハムストリングスの柔軟性低下が骨盤後傾、足関節背屈可動域制限が下腿前傾不足の原因となっていることがあるので、大腿四頭筋以外も必ず確認する。
膝蓋骨が外上方変位かつ後傾位になっていることが多い。外側広筋が牽引し、内側広筋の活動が低下していることが多いので、確認する。
骨の状態の確認と、なぜオスグッドになったのか、運動量の調整・アライメント調整・動きの修正の3点を同時に行っていく必要があると考えてます。
痛みが強くなってから・骨が変形してからでは対応としては遅く、復帰にも時間がかかります。
ジュニア選手・お子さんが膝の前側が痛いと言った場合はオスグッドを疑い、まずは整形外科へ(運動をしながらと考えるのであれば、スポーツ整形外科がベストです)
そしてそこでリハビリなどを受けたり、当院などの治療院でケアを受けたりしながら、一日でも早い復帰を目指して取り組んでいくことが必要です。
ぜひ、ご参考になれば幸いです。
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2019年11月01日 15:26