筋バランス評価を通じて見る股関節屈曲筋群の神秘
身体は複雑なシステムを持ち、バランスの取れた動きを実現しています。
特に股関節の屈曲筋群は、我々が歩く、座る、走るといった日常の動きにおいて、大切な役割を果たします。
しかし時に、これらの筋群が緊張しやすくなる原因や、そのバランスをどのように評価すべきか、という疑問が生じることがあります。
今回は、股関節屈曲筋群の筋バランスの評価の視点から、その奥深さを探ってみましょう。
「緊張」という現象。
これは実は筋肉が働く際に避けて通れない側面です。
一方で筋肉が緊張し、もう一方がリラックスする。
これが一般的な動作の中で起きています。
股関節屈曲の際、その角度や動作の中でどの筋肉がどれほど働いているかは、疼痛や動きの質に直結します。
評価のポイントとして、60°程度の股関節屈曲位で下腿を支える姿勢をとり、軽く抵抗を感じながら股関節を屈曲させていきます。
この時、外側の大腿筋膜張筋から内側の長内転筋に至る範囲を触診することで、筋の硬さや膨隆をチェックします。
通常、腸腰筋の力が優位であるため、その他の筋の緊張は少ないはずです。
ですが、特定の筋に緊張が感じられた場合、そこが代償として動いている可能性があります。
なぜ一部の筋が緊張し、または抑制されるのでしょうか。
答えは“アライメント不良”に隠されています。
体の各関節や骨は、特定の方向や角度に整っていることで、スムーズで効率的な動きを生み出します。
これが崩れると、そのバランスを保つために他の筋肉が過剰に働くことになり、緊張が発生します。
ヤンダが提唱している理論を取り入れると、筋のアンバランスや特定の筋へのオーバーロードは、体のアライメント不良と深く関わっています。
特に骨盤の位置は、股関節の動きに大きな影響を与えます。
骨盤が適切な位置とオリエンテーションを保てないと、屈曲筋群のバランスにも異変が起こり、特定の筋が過負荷となり緊張を引き起こします。
このように、アライメントのチェックと調整が、筋バランスを理解し、適切なケアやトレーニングメソッドを適用するうえでの鍵となります。
ひとつの筋の緊張が全体のバランスを崩すように、ひとつの部位のアライメントが体全体の動きと健康に影響をもたらします。
私たちがこの神秘的なバランスを理解し、適切な知識と技術でアプローチすることで、より健康的で快適な動きが実現します。
ここでは、ごく表面的な部分を垣間見るだけでしたが、このテーマは深い洞窟のように広がっています。
ヤンダ先生の理論や、アライメントの深層を学びたい方は、専門書を手に取り、更なる学びを深めてください。