組織傷害時の微小血管反応: ヒスタミン、BK、補体系の役割
私たちの体は、外部からの傷害や感染に対して、驚くべき速さで反応します。
特に、微小血管の反応は、組織の修復や防御のための鍵となる要素です。
今回は、組織傷害時に微小血管がどのように反応するのか、特にヒスタミン、BK、補体系のC3aやC5aという物質の役割に焦点を当てて詳しく解説します。
1. 細動脈の一過性収縮と物質の放出
組織が傷害を受けると、最初に微小血管、特に細動脈が一過性に収縮します。
この収縮は、以下の物質の放出と作用によって引き起こされます。
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セロトニン: 血小板から放出される神経伝達物質で、血管の収縮を引き起こす役割があります。
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エンドセリン: 血管内皮細胞から放出されるペプチドで、強力な血管収縮作用を持っています。
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ロイコトリエンC4 & D4: アラキドン酸の代謝産物で、炎症反応を引き起こす役割があります。これらは、血管の収縮や透過性の増加を促進します。
2. 細動脈の拡張と物質の作用
細動脈の一過性収縮に続いて、細動脈は拡張を始めます。
この拡張に関与する主要な物質について詳しく見てみましょう。
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ヒスタミン: 炎症部位で放出される生化学的物質で、血管の拡張や透過性の増加を引き起こします。
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BK (ブラジキニン): 血漿タンパク質から生成されるペプチドで、強力な血管拡張作用を持っています。また、痛みや血管の透過性の増加も引き起こします。
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補体系のC3a & C5a: 免疫系の一部として機能する補体系から生成されるペプチド。これらは、炎症反応を増強し、白血球の活性化や血管の拡張を促進します。
これらの物質の放出と作用により、血流量が増加し、私たちが通常「赤くなる」と感じる肉眼的な発赤が生じます。
まとめ
組織傷害が生じると、私たちの体は微小血管を中心に迅速に反応します。
この反応は、セロトニン、エンドセリン、ロイコトリエン、ヒスタミン、BK、補体系のC3aやC5aという物質の放出と作用によって進行します。
これらの物質は、組織の修復や防御をサポートするためのものであり、細動脈の収縮と拡張、そして血流量の増加というステップを経て進行します。
これらの過程を理解することで、私たちの体がどれほど素晴らしい防御メカニズムを持っているのかを再認識することができます。