血管透過性の亢進と滲出液の形成: 炎症時の微小血管の変化
私たちの体の微小血管は、非常に緻密な構造を持っており、日常的に多くの物質の出入りを厳密にコントロールしています。
しかし、炎症が生じると、この微小血管の働きが変わります。
今回は、炎症時の血管透過性の亢進と滲出液の形成について、詳しく解説します。
1. 血管の通常の働き
小血管の内腔面は血管内皮細胞で覆われています。
これらの細胞は、水や水溶性物質、酸素、二酸化炭素を通過させる能力を持っていますが、血漿タンパク質(例: 免疫グロブリンやフィブリノーゲン)や細胞の通過は通常制限されています。
2. 炎症時の血管透過性の変化
炎症が生じると、肥満細胞から放出されるヒスタミンや、炎症刺激により産出される炎症性サイトカインの影響を受け、血管内皮細胞が収縮します。
この収縮により、細胞間の接合部が開き、血管の透過性が亢進します。
3. 滲出液の形成
血管の透過性が亢進すると、血漿成分が組織間に滲み出します。
この滲出液は、炎症の初期段階ではタンパク含有量が少ないものの、時間が経過するとタンパク含有量が増加します。
この変化は、炎症の進行や治癒過程において重要な役割を果たします。
まとめ
炎症が生じると、私たちの体の微小血管は迅速に反応し、その透過性を変化させます。
これにより、必要な物質や細胞が炎症部位に供給され、損傷部位の修復や感染からの防御が行われます。
このような微小血管の働きの変化は、私たちの体が持つ驚くべき自己修復メカニズムの一部であり、炎症の理解には欠かせない要素です。