炎症の全身への影響:体温上昇から白血球増加までの生体反応
炎症という言葉を聞くと、多くの人は特定の部位の赤みや腫れを想像するかもしれません。
しかし、炎症は体全体に影響を及ぼす複雑な生物学的現象です。
今日は、その全身に及ぶ影響について詳しく見ていきましょう。
まず、体温の上昇に着目しましょう。
炎症が発生すると、プロスタグランジンE2(PGE2)という物質が視床下部に作用し、体温のセットポイントを上昇させます。
この結果、体はより多くの熱を産生し、結果として発熱が生じるのです。
また、炎症部位で生成される炎症性サイトカインは、骨髄に作用して白血球の数を増加させます。
これは体の防御機構の一部であり、感染や傷害に対する免疫応答を強化するためのものです。
さらに、急性炎症が起きると、肝臓でC反応性タンパク(CRP)が大量に生成されます。
CRPは炎症のマーカーとして血液検査で測定され、炎症の程度を示す重要な指標となります。
最後に、フィブリノーゲンの合成が亢進し、血中濃度が上昇します。
これにより、赤血球は凝集しやすくなり、赤血球沈降速度(ESR)が増加します。
これもまた炎症の存在を示す血液検査の指標の一つです。
これらの生体反応は、炎症が単なる局所的な現象ではなく、体全体の健康と機能に影響を及ぼすことを示しています。
炎症に対する適切な理解と対応は、健康管理において非常に重要です。