ステロイド治療の進化と課題:関節リウマチへの影響を中心に
ステロイド薬、またの名を副腎皮質ホルモン薬とも呼ばれるこの薬は、1940年代後半以降、関節リウマチ治療の重要な一翼を担ってきました。
今日、私たちはステロイド薬の作用メカニズム、治療への利用、そしてその副作用について掘り下げてみましょう。
ステロイド薬の抗炎症作用
ステロイド薬の主な作用は、強力な抗炎症効果です。
これは、アラキドン酸カスケードにおけるホスホリパーゼA2やCOX-2の抑制によって実現されます。
この作用により、関節リウマチにおける痛みや腫脹などの自覚症状が改善されることが知られています。
免疫抑制効果と関節破壊の抑制
大量に投与されたステロイド薬には、免疫抑制効果も認められます。
これは、マクロファージの活性抑制と炎症性サイトカインの産出抑制、Tリンパ球の活性抑制によってもたらされます。
特に、関節リウマチの発症初期に使用することで、関節破壊の進行を抑える効果が期待されます。
副作用と使用時の注意
しかし、ステロイド薬は副作用も多く、使用する際には慎重な判断が必要です。
進行期に使用しても関節破壊の進行を完全に抑えることは困難であり、糖尿病、易感染性、骨粗鬆症、筋萎縮などの副作用が生じることがあります。
総括
ステロイド薬は、関節リウマチの治療において重要な役割を果たしてきましたが、その使用には副作用への注意が必要です。
医療従事者や患者は、利点とリスクを十分に理解し、治療方針を慎重に決定することが求められます。
これからも、より安全で効果的な治療法の開発が進むことを期待しています。