細胞外マトリックスと筋肉・腱の健康:コラーゲンからintegrinまで
細胞外マトリックス(ECM)は、筋肉や腱の健康と機能にとって重要な役割を果たします。
これは、コラーゲンだけでなく、プロテオグリカンや様々な非コラーゲン糖蛋白質(glycoprotein)を含む複雑なネットワークです。
ECMは筋肉や腱を介して外部からの力に対して細胞内の情報ルートを活性化し、細胞骨格の再配列を促します。
integrinは細胞表面における抗張力(tensile strain)の感知器官であり、細胞骨格とともに機械的感知の小器官を形成します。
筋腱移行部ではintegrinの発現が欠如すると、筋収縮による構造的損傷が起こります。
ECM内でintegrinはコラーゲン、フィブロネクチン、テナシン、ラミニンなどと結合し、様々な生理的プロセスに関与しています。
コラーゲンの合成と分解の過程は、筋肉や腱の健康にとって重要です。
コラーゲンは主に線維芽細胞(fibroblast)によって合成され、TGF-β(変換成長因子β)、IGF(インスリン様成長因子)、IL(インターロイキン)、FGF(線維芽細胞成長因子)、PG(プロスタグランジン)、VEGF(血管活性内皮成長因子)などの成長因子によって調節されます。
これらの成長因子は、線維芽細胞内のmitogen-activated protein kinase(MAPK)やprotein kinase C(PKC)を活性化し、細胞内の機械的負荷に対応します。
特にMAPKは細胞質から核への機械的負荷情報を伝える重要な役割を果たします。
さまざまなMAPKのサブユニットが機械的ストレスで活性化され、核での遺伝子活性化につながります。
プロコラーゲンmRNAはリボソームで翻訳され、粗面小胞体でプロコラーゲンが組み立てられ、ゴルジ装置を介して細胞外に分泌されます。
その後、相互にクロスリンクして3重螺旋構造を持つコラーゲンになり、matrix metalloproteinase(MMP)によって細片に分解されます。
このように、ECMは筋肉や腱の機能に深く関わる複雑なシステムであり、運動やトレーニングの効果、さらにはリハビリテーションや健康維持において重要な役割を果たしています。
この知識は、私たちの身体のより良い理解と健康管理に貢献します。