関節の感覚神経: 膝の動きと痛みの複雑な相互作用
私たちの関節は、日々の動作で非常に重要な役割を果たしていますが、その動きや痛みを感知するメカニズムは複雑で多面的です。
最近の研究により、特にネコの膝関節を支配する感覚神経の機能がより詳細に解明されています。
Schaibleの研究では、膝関節を支配する内側関節神経からII群感覚神経(2.5〜20m/s)とIVV群感覚神経(<2m/s)を伝導速度で同定し、それらが支配する感覚器を機能面から4種に分類しました。
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非侵害刺激に反応する感覚神経: II群感覚神経の30.5%とIV群感覚神経の13%は膝関節の非侵害刺激で興奮します。これらの神経は膝の屈伸や特に長軸を中心とした膝の回転に強く反応します。
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非侵害刺激に少量反応し、侵害刺激に強く反応する神経: III群の19%とIV群の7.5%は非侵害刺激には1〜3個のインパルスで応答し、侵害刺激には強く反応します。
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侵害刺激にのみ反応する神経: 28%のIII群と26%のIV群感覚神経は非侵害刺激には応じず、侵害刺激中に持続して放電します。
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関節の動きや刺激に応じない神経: 残りの22%のIII群と43.5%のIV群感覚神経は関節の動きや刺激には反応しません。これらは膝蓋靱帯や膝関節の前面の皮膚に受容野を持っています。
これらの感覚器は、関節が正常の可動範囲を超えたときに警報信号を出す役割を主としており、関節炎などの場合に感じられる痛みを仲介すると考えられています。
興味深いことに、Aδ(II群)やC(IV群)神経の感覚終末の細胞膜には侵害感覚チャネルがすべて用意されているわけではありません。
さらに、炎症や神経損傷の場合、侵害感覚チャネルが終末部の膜に増量し、侵害感覚を感じるようになるとされています。
この研究は、関節の動きや痛みの感知に関する我々の理解を深め、関節疾患の治療や管理における新たなアプローチを提供する可能性を秘めています。
関節の複雑な神経メカニズムを理解することは、より効果的な治療法の開発につながる可能性があります。