電位依存性ナトリウムチャネル:痛み感覚の新たな理解
痛みは私たちの日常生活において避けられない感覚であり、その生理学的基盤を理解することは医学の重要な分野です。
最近の研究では、電位依存性ナトリウムチャネル(Na*チャネル)が侵害感覚器の興奮性を修飾し、痛みの感覚に大きく関与していることが明らかになりました。
電位依存性 Na*チャネルの基本
電位依存性 Na*チャネルは、神経細胞の興奮性を制御する重要な役割を果たします。
これらのチャネルは、活動電位(神経信号)の起始や伝播を担う内向きナトリウム電流に由来するものです。
TTX-SFとTTX-R Na*電流
成体の脊髄後根神経節(DRG)のすべてのニューロンには、tetrodotoxin(TTX)に敏感で速く不活性化されるナトリウム電流(TTX-SF)が存在します。
小径ニューロンには、TTXに鈍感で速く不活性化される電流(TTX-R)や、ゆっくり不活性化される電流(TTX-R)もあります。
TTX-R Na*電流の役割
TTX-R Na*電流は、痛みに関連する小径の侵害感覚ニューロンに多く存在します。
これらの電流は一酸化窒素(NO)や関連物質によって抑制され、痛み感覚の調節に重要な役割を果たします。
Na*チャネルの特定
特に、TTX-R Na*電流チャネルのα-subunitであるNav 1.9とNav 1.8は、痛み感覚において重要な役割を果たしています。
Nav 1.9は低い活性化閾値を持ち、過分極電位で極端に遅い不活性経過を取ります。
Nav 1.8は、比較的に高い活性化閾値を持ち、痛み感覚に関与しています。
未来の研究と治療法
この知見は、電位依存性 Na*チャネルが、痛みの感覚とその処理において重要な役割を果たしていることを示しています。
これらのチャネルを標的とする新しい治療法の開発は、痛みの管理において大きな可能性を秘めています。
今後の研究によって、より効果的な疼痛管理法が開発されることが期待されます。
まとめ
電位依存性 Na*チャネルの研究は、痛みの感覚とその生理学的基盤に新たな光を当てています。これらのチャネルの理解を深めることで、痛みの治療において新たな道が開かれることでしょう。