ナトリウムチャネルの多様性と痛覚調節:遺伝子の視点から
ナトリウムチャネルは、私たちの神経系において重要な役割を果たしています。
特に、痛覚の伝達と調節においてナトリウムチャネルの多様性が鍵となります。
最近の研究により、異なる遺伝子から発現される11種類のナトリウムチャネルのα-subunitが存在し、これらが痛覚にどのように関与しているかが明らかになってきました。
ナトリウムチャネルα-subunitの多様性
これら11種類のナトリウムチャネルのうち、5種類が脊髄後根神経節(DRG)ニューロンに存在します。
これらは大きく2群に分けられます。第一群はSNS(sensory neuron specific)またはPN3と呼ばれ、第二群はNaNまたはSNS2と呼ばれます。
SNSチャネルとその役割
SNS遺伝子が除去されたマウスでslow TTX-R Na電流が観察されないことから、SNSチャネルがこの電流を担っていることが明らかにされました。
これは、痛覚過敏の研究において重要な発見です。
侵害感覚ニューロンとTTX-R Na* 電流
TTX-R Na*電流は、侵害感覚特性を持つニューロンに限って存在します。
これは痛みの伝達における重要な要素であり、炎症性仲介物によってその活動閾値が変化することが分かっています。
例えば、プロスタグランジンE2やセロトニンなどの物質によって、これらの電流の活動が活性化され、細径神経の活動電位の頻度が増加します。
炎症とナトリウムチャネルの相互作用
ナトリウムチャネルの活動は炎症によっても変化します。
プロスタグランジンE2などの炎症性物質は、アデニル酸シクラーゼやプロテインキナーゼA(PKA)、プロテインキナーゼC(PKC)を活性化し、ナトリウムチャネルの振幅や持続を増加させます。
これにより、痛覚伝達におけるナトリウムチャネルの役割が強化されます。
まとめ
ナトリウムチャネルのα-subunitの多様性とそれらの遺伝子発現の違いは、痛覚の理解において非常に重要です。
これらのチャネルが痛みの感覚、特に痛覚過敏や炎症にどのように関与しているかを理解することは、痛みの治療において新たなアプローチをもたらす可能性があります。