謎の神経細胞: 7型侵害感覚ニューロンの秘密
侵害感覚ニューロンは、私たちの身体が危険を感知するための重要なシグナルを脳に送る役割を果たします。
中でも、7型ニューロンはその独特な特性から注目されています。
本記事では、この神秘的なニューロンの特徴と、その生理学的意義について探求します。
薬剤感受性と活性化機構
7型ニューロンはamilorideに敏感であり、H+で活性化されることが知られています。
これは、体内のpHバランスの変化に応答して活動することを示唆しています。
しかし、ATPやcapsaicinに対する感受性は比較的弱く、これらの化合物が豊富に存在する環境下でも、7型ニューロンの活性化は限定的である可能性があります。
高速脱感受性とIB4陽性の意義
独特な点として、このニューロンは非常に速く脱感受性を示します(平均255ms)。
この高速脱感受性は、短い刺激に対する迅速な反応を可能にし、継続的な刺激には鈍感になることで、体を守る役割を果たしていると考えられます。
また、IB4陽性であり、substance PやCGRP免疫反応を持つことから、炎症や痛みの伝達に関与していることが示唆されています。
機械的刺激に対する無反応性
7型ニューロンは機械的刺激には応答せず、通常は沈黙している(silent)状態にあります。
これは、このニューロンが特定の化学物質やpHの変化に特化していることを意味し、機械的なダメージには反応しない独特のセンサーとして機能している可能性があります。
長期後過分極電位の持続
また、後過分極電位の持続時間が極端に長い(110ms)ことも、7型ニューロンの顕著な特徴です。
この長い後過分極は、ニューロンが一度活性化されると、しばらくの間は再度の活性化が抑制されることを意味し、過剰な刺激から身体を保護するメカニズムの一部であると考えられます。
結論
7型侵害感覚ニューロンは、その高度に特化した感受性と迅速な脱感受性、特定の刺激に対する独特の反応パターンによって、痛みや炎症の感知、そして体の保護に重要な役割を果たしていることが明らかになりました。
これらの神経細胞の詳細な研究は、痛みの管理や治療に新たな道を開く可能性を秘めています。