脊髄後角のニューロンと痛覚伝達:有柄細胞と小島細胞の役割
有柄細胞と小島細胞の役割
脊髄後角第II層(膠様質)は、痛覚伝達の重要な領域です。
ここに存在する有柄細胞(stalked cell)と小島細胞(islet cell)は、II(AS)およびIV(C)群感覚神経信号や上位中枢からの下行性信号を受けて情報を修飾する役割を果たします。
これらの細胞は、L-グルタミン酸やサブスタンスPなどの種々の伝達物質を介してシナプスでの機能関係を報告しています。
初期群化放電と軸索の役割
膠様質の大部分のニューロンは初期群化放電(initial burst)を特徴としており、有柄細胞の軸索は第I層に入ります。
Grudtらの研究によれば、これらの細胞種の形態と機能には特定の特徴があるとされています。
ラットの膠様質ニューロンの多くは持続性放電(tonic firing)を示し、これはNaチャネルと遅延整流K+(KR)チャネルのバランス活動によって起こると考えられています。
膠様質ニューロンの反応特性
Furueらの研究では、ラットの後肢に侵害性つまみ(pinch)刺激や非侵害性空気吹き付け刺激中に膠様質ニューロンは活動電位を連発するが、侵害性熱(≧45°C)や非侵害性熱(40°C)刺激にはまったく反応しないことが見つかりました。
この結果から、熱感覚信号は別の経路を通る可能性が示唆されます。
C末梢神経とAδ神経の投射分布
第II層(膠様質)ニューロンのC末梢神経の興奮性投射は、Aδ神経の投射分布よりも頭尾方向に瀰漫性に広がっています。
同時に、抑制性入力の分布も広く、側抑制によって興奮性入力の広がりを抑えていると考えられています。
このメカニズムは、痛みの感覚が特定の部位に集中するのを防ぎ、全体的な感覚のバランスを保つために重要です。
結論
脊髄後角第II層のニューロンは、痛覚伝達において複雑な役割を果たしています。
有柄細胞と小島細胞は、感覚神経信号を修飾し、痛みの伝達を調整する重要な役割を果たしています。
また、膠様質ニューロンの反応特性は、異なるタイプの刺激に対する反応の違いを示し、痛みのメカニズムを理解するための重要な手がかりを提供します。
これらの知見は、痛みの管理と治療において重要な役割を果たすでしょう。