脊髄のニューロンと神経の働き
グルタミン酸と受容体の働き
脊髄の第二次感覚ニューロンには、グルタミン酸という物質で興奮するkinate受容体があります。
この受容体の活動には二つの側面があり、GABAやグリシン受容体で仲介されるシナプス抑制がないと、低濃度のグルタミン酸で信号が伝わりやすくなり、高濃度では逆に信号が抑えられます。
これは、神経がどのように信号を調整するかを示しています。
AδとC神経線維の役割
脊髄の神経細胞には、AδとC神経線維があります。
これらの神経は痛みを伝える役割を持っています。
特に、GluR6-kinate受容体はAδとC神経線維の単シナプス経路で信号を抑えますが、GluR5-kinate受容体はC線維の経路だけを抑えます。
これにより、痛みの信号がどのように制御されるかがわかります。
ノルアドレナリンの影響
膠様質ニューロンにはノルアドレナリンという物質が影響を与えます。
ノルアドレナリンは、シナプス前で痛みの信号を抑え、シナプス後ではα2-アドレノレセプターを介して抗痛効果をもたらします。
これにより、痛みを感じにくくする仕組みがあることがわかります。
深い層のニューロンの働き
脊髄の第III層と第IV層には、さまざまな神経細胞があります。
第III層には、有髄神経が多く、第II層と区別されます。
また、第IV層には大きな細胞があり、皮膚や筋肉の刺激に反応します。
これらの細胞は、脊髄の視床路や中脳路、網様体路を通じて信号を伝えます。
第V層の広作動域ニューロン
第V層には、広作動域ニューロン(WDRニューロン)と呼ばれる神経細胞があります。
これらのニューロンは、皮膚や深部組織からの痛みや触刺激に応じ、痛覚過敏や異痛の原因となることがあります。
特に、カプサイシンという物質を皮膚に投与すると、痛みを強く感じるようになることがあります。
まとめ
脊髄には多くの種類の神経細胞があり、それぞれが異なる役割を持っています。
これらの神経細胞は、痛みや触刺激を伝える重要な働きをしており、その仕組みを理解することで、痛みの治療や感覚の研究に役立つことがわかります。