酸性度と痛みの関係:体の不思議な仕組み
酸性になるとどうなる?
体が炎症を起こしたり、貧血や低酸素状態になると、組織は酸性になります。
酸性になるというのは、体の中のpH値が低くなることを意味します。
普段は中性(pH 7前後)ですが、酸性になるとpHは6.2以下になります。
酸性度と痛みの関係
体が酸性になると、痛みを感じやすくなります。
この痛みの原因は、体の中にある特定のイオンチャネル(電気の通り道)が開くからです。
酸性になると開くイオンチャネルには、VR1やASIC(酸に敏感なイオンチャネル)があります。
これらのチャネルが開くと、神経が刺激されて痛みを感じます。
グリシンと神経の抑制
ラットの脊髄ニューロンにグリシンという物質を投与すると、神経の活動が抑制されることが分かりました。
この抑制は、微小抑制性シナプス後電流(mIPSC)という現象によって引き起こされます。
つまり、グリシンが神経の興奮を抑える役割を果たしているのです。
新しい鎮痛薬の可能性
現在、アデノシンキナーゼインヒビターという物質が新しい鎮痛薬として注目されています。
これは、アデノシンという物質の働きを抑えるもので、痛みを和らげる効果があります。
また、カフェインが特定の受容体を阻害することも分かっています。
将来的には、これらの物質がより効果的な痛み止めとして使われるかもしれません。