痙攣や振戦の原因:神経の仕組みを探ろう
私たちの体には、神経がうまく働かないことで起こる病気があります。
その中でも、痙攣や振戦(体が震えること)はよく知られています。
今回は、痙攣マウスや振戦マウスと呼ばれる特別なマウスの研究を通じて、これらの現象がどうして起こるのかを解説します。
痙攣マウスと振戦マウスって何?
痙攣マウスや振戦マウスは、遺伝子の突然変異によって生まれます。
この変異は、glycineという物質を受け取る受容体(glycine receptor)に影響を与えます。
これにより、突然の感覚刺激に対して激しい運動異常が起こることが知られています。
神経の抑制がうまくいかない
Grahamさんたちの研究によると、痙攣マウスや振戦マウスの神経の働き方には問題があります。
彼らは、マウスの脊髄から取り出した標本を使って、痛みを感じる神経(後角表層ニューロン)の活動を調べました。
すると、これらのマウスではglycine receptorによる抑制がうまくいっていないことが分かりました。
mIPSCって何?
mIPSCとは、神経が抑制されるときに起こる電流のことです。
通常、glycine receptorが活性化するとmIPSCが発生し、神経の興奮が抑えられます。
しかし、痙攣マウスや振戦マウスでは、このmIPSCの振幅が小さく、頻度も低いことが分かりました。
つまり、神経の抑制が不十分であるため、痙攣や振戦が起こるのです。
どうして運動異常が起こるのか
痙攣や振戦が起こる原因は、glycine receptorが正常に働かないことにあります。
これによって神経の抑制が不十分になり、体が過剰に反応してしまいます。
その結果、痙攣や振戦が引き起こされるのです。