ニコチンと痛みの関係:体の中で起こる不思議な現象
ニコチン系アセチルコリン受容体とは?
体の中には、ニコチン系アセチルコリン受容体(nAChR)という受容体があります。
この受容体は、神経の働きを調整する重要な役割を果たしています。
nAChRには、α2からα7、そしてβ2からβ4までのサブユニット(部分)があり、これらが組み合わさって働きます。
どこにあるの?
哺乳類の脊髄後根神経節(DRG)という場所には、多くのnAChRが存在します。
大型のニューロンの77%でα7というサブユニットが活発に働いていますが、小型のニューロンでは32%です。
また、α3β4という組み合わせの反応は、大型ニューロンの16%、小型ニューロンの9%で見られます。
ニコチンと痛みの関係
nAChRを持つ小型ニューロンに長期間、痛みを和らげる薬(例えばエピバチジン)を投与すると、受容体が鈍感になることが分かっています。
これは、nAChRが痛みの信号伝達に関与している可能性を示唆しています。
ニコチンの効果
ある研究では、ラットの脊髄のニューロンが刺激されたときに、アセチルコリン(ACh)という物質を与えると神経の興奮が増すことが分かりました。
また、ニコチンがα4β2というサブユニットを含むnAChRを介してglycineという物質の放出を促すことも分かっています。
これは、ニコチンが痛みの信号を修飾し、痛みを和らげる効果があることを示しています。