ニコチンが痛みを和らげる不思議な力
ニコチンと神経の関係
Liuさんたちの研究では、ラットの三叉神経節という部分にニコチンを与えました。
すると、TTX-R Na+電流という特定の電流が抑えられ、麻酔効果が現れました。
麻酔効果とは、痛みを感じにくくする効果のことです。
一過性受容器電位受容体(TRP)とは?
体の中には、TRP受容体という特別な受容体があります。
これは、痛みや温度などを感じるのに重要な役割を果たしています。
特に、TRP V1受容体(別名VR1受容体)は、辛い物質であるカプサイシンに反応します。
ニコチンの特別な効果
ニコチンは、TRP V1受容体を修飾(変化させること)します。
このとき、ニコチンはnAChR(ニコチン系アセチルコリン受容体)とは関係なく、カプサイシンによる活性電流を数倍にも高めることが分かりました。
つまり、ニコチンは直接TRP V1受容体に働きかけ、痛みを感じる電流を変えるのです。
痛みを和らげるメカニズム
ニコチンがTRP V1受容体に働きかけることで、痛みを和らげる効果があることが分かりました。
これは、ニコチンが直接神経に働きかけることで、痛みの信号を抑えるためです。
将来的には、この仕組みを利用して、新しい痛み止め薬が開発されるかもしれません。