ネコの炎症と痛覚過敏:Substance Pの役割
1. ネコの炎症と痛覚過敏の関係
ネコの後肢足蹠にcarrageenanを注射すると、その部分を支配する感覚神経はsubstance P反応陽性となります。
Substance Pは神経伝達物質で、炎症や痛覚の調節に重要な役割を果たします。
この反応により、感覚神経の活動が増加し、痛覚過敏の状態が生じます。
2. C感覚神経の変化
通常、C感覚神経は約10Hzの規則的な放電を行いますが、炎症が起きるとその自発性活動が約3倍に高まり、高頻度でburst状(群化)になります。
これにより、痛覚が増強され、ネコは痛みを強く感じるようになります。
3. Aδ神経の反応増加
また、Aδ神経の反応も炎症により約2倍に高まります。
Aδ神経は速い伝導速度を持ち、急性の痛みを伝える役割を果たします。
これにより、ネコはより早く痛みを感じるようになり、痛覚過敏がさらに増強されます。
4. 第一次感覚ニューロンの膜電位変化
炎症中には、第一次感覚ニューロンの膜電位が脱分極し、膜入力抵抗が高まります。
また、内向整流電流が消えることにより、感覚ニューロンは敏感になり、痛覚過敏状態になります。
これらの変化が、痛みの感じ方に大きな影響を与えます。
まとめ
Substance Pは、ネコの炎症と痛覚過敏において重要な役割を果たします。
C感覚神経とAδ神経の活動増加、そして第一次感覚ニューロンの膜電位変化により、痛覚が敏感になることが明らかになりました。
この研究は、痛覚過敏のメカニズムを理解し、将来的な痛み治療法の開発に役立つ重要な一歩となります。