大阪府吹田市のスポーツ鍼灸マッサージ治療院 Physical conditioning center ACT

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ATPとアデノシン:痛みの感覚にどう関わるの?

ATPとは何か?

ATP(アデノシン三リン酸)は、私たちの体がエネルギーを使うときに重要な役割を果たす分子です。
ATPは、エネルギーを運ぶ「電池」のようなもので、細胞が働くために必要なエネルギーを供給します。

ATPの受容体:P2X受容体

ATPは、痛みの信号を伝えるときにも重要な役割を果たします。
末梢神経に痛みの刺激が加わると、脊髄後根神経節(DRG)という部分で活動電位が発生し、その信号が脊髄に伝わります。
このとき、DRGや脊髄後角の神経細胞には「P2X受容体」と呼ばれる受容体があり、これがATPによって活性化されます。

P2X受容体の働き

P2X受容体が活性化されると、グルタミン酸という物質の放出が増え、痛みの信号が強くなります。
この受容体は、痛みの感覚を増強する役割を持っているのです。
例えば、DRGのシナプス前終末にあるP2X受容体が活性化されると、活動電位がさらに高まり、より多くのグルタミン酸が放出されます。
これによって、痛みの感覚が増します。

アデノシンとは何か?

アデノシンは、ATPが分解されてできる物質です。
代謝が活発な細胞から放出されたり、細胞外でATPが分解されることによって生成されます。
アデノシンは、神経細胞や血小板、好中球、マスト細胞、気管支や血管系の平滑筋細胞などの活性を調節する強力な生物学的仲介物質です。

アデノシンの受容体:A2受容体

アデノシンの受容体にはいくつかの種類がありますが、その中でも「A2受容体」は痛みの伝達に関係しています。
A2受容体が活性化されると、痛みの信号が調整され、痛みを和らげる効果があります。
アデノシンは、ストレスや虚血(血流が不足する状態)に対して細胞や組織を保護する役割も果たしています。

痛みの信号伝達の仕組み

痛みの信号は、末梢神経から脊髄を通って脳に伝わります。
ATPとアデノシンは、この過程で重要な役割を果たします。
ATPは痛みの信号を強くする役割があり、P2X受容体を介して作用します。
一方、アデノシンは痛みを和らげる役割があり、A2受容体を介して作用します。

まとめ

痛みの感覚には、ATPとアデノシンという二つの物質が重要な役割を果たしています。
ATPは痛みの信号を強化し、P2X受容体を通じて作用します。
アデノシンは痛みを和らげ、A2受容体を通じて作用します。
これらの仕組みを理解することで、痛みの治療法の開発に役立てることができます。
痛みを感じる仕組みを知ることで、健康管理に役立てていきましょう。

2024年06月11日 12:41

痛みを感じる仕組み:P物質とその受容体の役割

P物質とは?

P物質は、痛みを感じる神経細胞が作り出す化学物質です。
痛みの信号を伝える役割を果たしており、脊髄の後ろの部分にある神経細胞に働きかけます。
この物質は、特に痛みが長時間続く場合に多く作られます。

P物質受容体の役割

P物質は、「P物質受容体」と結びつくことで、その効果を発揮します。
この受容体は、脊髄の神経細胞の表面に存在し、痛みの信号を脳に伝えます。
痛みの刺激があると、P物質受容体が活性化され、痛みの信号が強くなります。

P物質と慢性痛

慢性痛(長期間続く痛み)の場合、P物質とその受容体の活動が増加します。
例えば、動物実験では、P物質を抑える物質(saporin)が痛みを和らげる効果があることが確認されています。
しかし、人間の病気(偏頭痛、関節炎など)にはあまり効果がないことも分かっています。

P物質受容体を抑える薬

P物質受容体を抑える薬は、痛みの治療に使われることがあります。
これらの薬は、痛みの信号を抑える効果があり、特にNMDA受容体と呼ばれる別の受容体が関わる痛みにも効果があります。

痛みと体の反応

痛みを感じるとき、体は様々な反応を示します。
例えば、猫の実験では、P物質の量が増えると、血圧が上がり、心拍数が増えることが報告されています。
これは、痛みが体全体に影響を与える一例です。

まとめ

P物質とその受容体は、痛みの感覚に重要な役割を果たしています。
痛みの信号を伝えるために、P物質は神経細胞に働きかけ、その受容体と結びつきます。
痛みが長時間続く場合や、強い痛みを感じる場合には、P物質とその受容体の活動が増加します。
痛みを和らげるためには、これらの仕組みを理解し、適切な治療法を見つけることが重要です。
痛みを感じる仕組みを知ることで、健康管理に役立てていきましょう。

2024年06月11日 12:34

脊髄での痛みの調整:代謝共役型グルタメート受容体の働き

代謝共役型グルタメート受容体(mGluR)とは?

代謝共役型グルタメート受容体(mGluR)は、神経細胞同士のコミュニケーションを調整する受容体です。
mGluRは、シナプス前膜(信号を送る側)とシナプス後膜(信号を受け取る側)の両方に存在し、痛みの信号を伝えると同時に、その信号の強さを調節しています。

第I群mGluRの役割

第I群mGluRは、興奮性と抑制性の両方のシナプス伝達を促進します。
例えば、小脳では、興奮性の信号が出されると、mGluRが活性化され、抑制性の信号が弱まります。
痛みの信号を調整するために、このmGluRは重要な役割を果たしています。

第II群mGluRと第III群mGluRの役割

第II群mGluRは、シナプス前後の両方に存在し、グルタメートが大量に放出されたときだけに作用します。
一方、第III群mGluRは主にシナプス前膜にあり、抑制性伝達物質であるGABAの放出を抑制することで神経の興奮性を高めます。
これにより、痛みの信号がより強く伝わるようになります。

mGluRの治療への応用

mGluRの働きを抑える薬は、持続的で慢性的な痛みを伴う病気の治療に使われます。
例えば、mGluR1の拮抗薬は、脊髄内での痛みの信号伝達を抑え、痛みを和らげる効果があります。
また、mGluRは他の多くの伝達物質と相互作用し、痛みの信号を複雑に調整しています。

グルタメートと脳の健康

グルタメートは、脊髄や脳で重要な役割を果たしていますが、過剰に放出されると神経細胞にダメージを与えることがあります。
例えば、脳が低酸素状態になると、グルタメートが過剰に放出され、神経細胞が死んでしまうことがあります。
これにより、精神障害や運動障害が引き起こされることがあります。

まとめ

脊髄での痛みの信号伝達には、代謝共役型グルタメート受容体(mGluR)が重要な役割を果たしています。
mGluRは痛みの信号を調整し、神経細胞の興奮性を調節することで、痛みの感じ方をコントロールしています。
これらの受容体を理解することで、痛みの治療法や脳の健康維持についての知識が深まります。
痛みを感じるメカニズムを知ることで、健康管理に役立てていきましょう。

2024年06月11日 12:26

脊髄での痛みの伝わり方:信号伝達物質と受容体の役割

痛みの信号伝達物質:L-グルタミン酸

痛みの信号を伝えるために、体は特別な化学物質を使っています。
その中の一つが「L-グルタミン酸」です。
この物質は、痛みを感じる神経細胞から次の神経細胞へ信号を伝える役割を果たしています。
L-グルタミン酸が脊髄の神経細胞に働きかけることで、痛みの信号が脳に伝わります。

NMDA受容体とその役割

L-グルタミン酸が働く場所の一つが「NMDA受容体」と呼ばれる受容体です。
この受容体は脊髄の後ろの部分にある神経細胞の表面にあります。
L-グルタミン酸がNMDA受容体に結合すると、神経細胞の中にカルシウムが流れ込みます。
これによって、一酸化窒素(NO)やプロスタグランジンといった物質が増え、周りの神経細胞がさらに活性化されます。
これが痛みの信号を強く伝える仕組みです。

その他の受容体:AMPA受容体とキネート受容体

NMDA受容体以外にも、脊髄には「AMPA受容体」や「キネート受容体」といった受容体があります。
これらの受容体もL-グルタミン酸によって活性化され、ナトリウムが神経細胞に入り、カリウムが外に出ることで痛みの信号が伝わります。
特にキネート受容体は痛みを感じる神経系に特有で、痛みの信号を効果的に伝える役割を果たしています。

痛みの治療とNMDA拮抗薬

深い組織や関節からの痛みを和らげるために、「NMDA拮抗薬」と呼ばれる薬が使われます。
これらの薬は、NMDA受容体の働きを抑えることで痛みを和らげる効果があります。
例えば、ケタミンやデキストロメトルファンという薬は、特に強い痛みに対して有効です。

まとめ

脊髄での痛みの信号伝達は、L-グルタミン酸やNMDA受容体、AMPA受容体、キネート受容体といった物質や構造が複雑に関わっています。
これらの仕組みを理解することで、痛みを感じるメカニズムやその治療法についての知識が深まります。
私たちが痛みを感じるとき、体の中で何が起こっているのかを知ることは、健康を保つためにも重要です。

2024年06月11日 12:17

骨リモデリングの仕組みとその重要性

骨リモデリングとは?

骨リモデリングは、古い骨が吸収されて新しい骨が作られるプロセスです。
これにより、骨は常に新しく強く保たれます。
私たちの骨は、生まれてからずっとこのリモデリングを繰り返しているのです。

カップリング機構の役割

骨リモデリングの中心には「カップリング機構」という仕組みがあります。
これは、骨吸収(古い骨を取り除く)と骨形成(新しい骨を作る)が連動して行われることを指します。
カップリング機構のおかげで、古い骨が吸収されると同時に新しい骨が形成され、骨の健康が保たれます。

骨リモデリングを調節する因子

骨リモデリングを調節するために、いくつかの重要なタンパク質や分子が働いています。以下に、その主なものを紹介します。

  • RANKL(ランクル): 骨吸収を促進するタンパク質です。これが多いと、骨を取り除く活動が活発になります。
  • OPG(オーピージー): RANKLの働きを抑えるタンパク質です。OPGが多いと、骨吸収が抑えられます。
  • Wntシグナル伝達経路: 新しい骨を作るのを助けるシグナルです。この経路が活発だと、骨形成が進みます。
  • Sclerostin(スクレロスチン): Wntシグナルを抑制するタンパク質で、骨形成を調節します。

骨の健康を保つために

骨リモデリングは、これらの因子がバランスよく働くことで進行します。
例えば、RANKLが多すぎると骨吸収が進みすぎてしまい、骨が弱くなります。
逆にOPGが少なすぎると、同じく骨吸収が過剰になってしまいます。
このバランスが崩れると、骨の健康が損なわれる可能性があります。

まとめ

骨リモデリングは、私たちの骨の強さを保ち、健康を維持するために重要なプロセスです。
RANKL、OPG、Wntシグナル、Sclerostinといった因子が協力して働くことで、古い骨が取り除かれ、新しい骨が作られます。
これらの因子のバランスが取れていることが、骨の健康を保つために非常に大切です。
私たちが普段からカルシウムを摂取したり、運動をすることも、このプロセスを助けることになります。
骨の健康を維持するために、これからも骨に良い習慣を続けましょう。

2024年06月05日 10:38

脊髄の不思議な神経細胞たち

WDRニューロンの働き

WDRニューロンは、痛みや触った感じなど、様々な感覚に反応します。
しかし、特定の感覚にだけ反応するわけではありません。
WDRニューロンは、脊髄の後角に入ってくる全ての感覚を統合して、その強さを表現しています。
これにより、私たちの体がどれくらい強く刺激を受けているかを感じることができます。

第VI層のニューロン

脊髄の第VI層のニューロンは、腰や首のあたりにあります。
これらのニューロンは、筋肉の感覚や皮膚の感覚信号を受け取ります。
第VI層のニューロンは、体の動きに強く反応し、複雑な感覚を処理しています。

第VII層のニューロン

第VII層のニューロンは、運動ニューロン以外の前角ニューロンを含んでいます。
これらのニューロンは、いろいろな種類の刺激に反応し、その信号を脳に送ります。
第VII層のニューロンは、運動や感覚の統合に重要な役割を果たしています。

第I層と第X層のニューロン

第I層のニューロンは、第VII層と同じように高い閾値の信号を受け取り、視床や網様体に信号を送ります。
第I層のニューロンは、他の層の痛みを感じるニューロンとシナプスしている可能性があります。

第X層のニューロンは、痛みの感覚信号を一部受け取ります。
これにより、脊髄の他の層と一緒に、痛みの情報を処理しています。

まとめ

脊髄には多くの種類の神経細胞があり、それぞれが異なる役割を持っています。
WDRニューロンは、全ての感覚を統合し、その強さを感じることを助けます。
第VI層、第VII層、第I層、第X層のニューロンも、それぞれが感覚や運動の情報を処理する重要な役割を果たしています。
これらの神経細胞の働きを理解することで、痛みや感覚の仕組みをより深く知ることができます。

2024年06月04日 12:43

脊髄のニューロンと神経の働き

グルタミン酸と受容体の働き

脊髄の第二次感覚ニューロンには、グルタミン酸という物質で興奮するkinate受容体があります。
この受容体の活動には二つの側面があり、GABAやグリシン受容体で仲介されるシナプス抑制がないと、低濃度のグルタミン酸で信号が伝わりやすくなり、高濃度では逆に信号が抑えられます。
これは、神経がどのように信号を調整するかを示しています。

AδとC神経線維の役割

脊髄の神経細胞には、AδとC神経線維があります。
これらの神経は痛みを伝える役割を持っています。
特に、GluR6-kinate受容体はAδとC神経線維の単シナプス経路で信号を抑えますが、GluR5-kinate受容体はC線維の経路だけを抑えます。
これにより、痛みの信号がどのように制御されるかがわかります。

ノルアドレナリンの影響

膠様質ニューロンにはノルアドレナリンという物質が影響を与えます。
ノルアドレナリンは、シナプス前で痛みの信号を抑え、シナプス後ではα2-アドレノレセプターを介して抗痛効果をもたらします。
これにより、痛みを感じにくくする仕組みがあることがわかります。

深い層のニューロンの働き

脊髄の第III層と第IV層には、さまざまな神経細胞があります。
第III層には、有髄神経が多く、第II層と区別されます。
また、第IV層には大きな細胞があり、皮膚や筋肉の刺激に反応します。
これらの細胞は、脊髄の視床路や中脳路、網様体路を通じて信号を伝えます。

第V層の広作動域ニューロン

第V層には、広作動域ニューロン(WDRニューロン)と呼ばれる神経細胞があります。
これらのニューロンは、皮膚や深部組織からの痛みや触刺激に応じ、痛覚過敏や異痛の原因となることがあります。
特に、カプサイシンという物質を皮膚に投与すると、痛みを強く感じるようになることがあります。


まとめ

脊髄には多くの種類の神経細胞があり、それぞれが異なる役割を持っています。
これらの神経細胞は、痛みや触刺激を伝える重要な働きをしており、その仕組みを理解することで、痛みの治療や感覚の研究に役立つことがわかります。

2024年06月04日 12:31

ラットの脊髄で起こる神経の変化

神経の種類と信号の伝わり方

脊髄にはAβ線維とAδ線維という神経があります。
Aβ線維は触ったり軽く押したりする感覚を伝え、Aδ線維は少し痛いと感じるような刺激を伝えます。
この研究では、ラットの脊髄でこれらの神経がどのように信号を伝えるかを調べました。

普通のラットの脊髄の反応

研究では、Aβ線維が刺激されると、第II層ニューロンという神経細胞の24%が興奮することがわかりました。
また、Aδ線維が刺激されると、34%のニューロンが単シナプス性(1つの神経から直接伝わる)で興奮し、7%が多シナプス性(複数の神経を介して伝わる)で興奮します。

神経を傷つけた場合の変化

坐骨神経を切断したり、糸で締めて傷つけると、Aβ線維の信号を多シナプス性で伝えるニューロンが65%以上に増えました。
一方で、単シナプス性で伝えるニューロンは10%以下に減りました。
これは、神経が傷つくと信号の伝わり方が大きく変わることを示しています。

その他の発見

さらに、軽い神経障害後にはAβ線維の信号を伝えるニューロンが減り、多シナプス性Aδ線維のニューロンは44%まで増えました。
しかし、単シナプス性Aδ線維のニューロンは減る傾向にありました。

このように、脊髄の神経細胞は、神経が傷つくと様々な変化を起こします。
特に、どの神経がどのように信号を伝えるかが大きく変わることがわかりました。

脊髄の外側と内側の違い

脊髄の第II層ニューロンは、外側と内側で異なる感覚信号を受け取っています。
後根の電気刺激では、外側のニューロンは内側よりも大きな興奮性シナプス後電流(EPSC)を示しますが、抑制性シナプス後電流(IPSC)は小さいです。

その他の重要な神経物質

研究では、neuropeptide Y (NPY)という物質がシナプス前受容体を介してEPSCを低下させることがわかりました。
また、GABAという神経物質の受容体を遮断すると、触っただけで痛みを感じる異痛(allodynia)が起こることがわかりました。

このように、脊髄の神経細胞やその周りの物質がどのように働くかを知ることで、痛みや感覚の仕組みを理解する手がかりになります。


まとめ

ラットの脊髄では、神経が傷つくと信号の伝わり方が大きく変わります。
Aβ線維やAδ線維の役割、脊髄の外側と内側の違い、そして重要な神経物質の働きなど、神経の仕組みを知ることで、痛みの治療や感覚の研究に役立つことがわかりました。

2024年06月04日 12:21

脊髄後角のニューロンと痛覚伝達:有柄細胞と小島細胞の役割

有柄細胞と小島細胞の役割

脊髄後角第II層(膠様質)は、痛覚伝達の重要な領域です。
ここに存在する有柄細胞(stalked cell)と小島細胞(islet cell)は、II(AS)およびIV(C)群感覚神経信号や上位中枢からの下行性信号を受けて情報を修飾する役割を果たします。
これらの細胞は、L-グルタミン酸やサブスタンスPなどの種々の伝達物質を介してシナプスでの機能関係を報告しています。

初期群化放電と軸索の役割

膠様質の大部分のニューロンは初期群化放電(initial burst)を特徴としており、有柄細胞の軸索は第I層に入ります。
Grudtらの研究によれば、これらの細胞種の形態と機能には特定の特徴があるとされています。
ラットの膠様質ニューロンの多くは持続性放電(tonic firing)を示し、これはNaチャネルと遅延整流K+(KR)チャネルのバランス活動によって起こると考えられています。

膠様質ニューロンの反応特性

Furueらの研究では、ラットの後肢に侵害性つまみ(pinch)刺激や非侵害性空気吹き付け刺激中に膠様質ニューロンは活動電位を連発するが、侵害性熱(≧45°C)や非侵害性熱(40°C)刺激にはまったく反応しないことが見つかりました。
この結果から、熱感覚信号は別の経路を通る可能性が示唆されます。

C末梢神経とAδ神経の投射分布

第II層(膠様質)ニューロンのC末梢神経の興奮性投射は、Aδ神経の投射分布よりも頭尾方向に瀰漫性に広がっています。
同時に、抑制性入力の分布も広く、側抑制によって興奮性入力の広がりを抑えていると考えられています。
このメカニズムは、痛みの感覚が特定の部位に集中するのを防ぎ、全体的な感覚のバランスを保つために重要です。

結論

脊髄後角第II層のニューロンは、痛覚伝達において複雑な役割を果たしています。
有柄細胞と小島細胞は、感覚神経信号を修飾し、痛みの伝達を調整する重要な役割を果たしています。
また、膠様質ニューロンの反応特性は、異なるタイプの刺激に対する反応の違いを示し、痛みのメカニズムを理解するための重要な手がかりを提供します。
これらの知見は、痛みの管理と治療において重要な役割を果たすでしょう。

2024年05月28日 17:11

筋収縮と痛みの神経科学:脊髄後角のニューロンの役割

筋収縮中の脊髄後角ニューロンの反応

骨格筋の静的な収縮中、脊髄後角第I層内の一群のニューロンは選択的に反応します。
これらのニューロンは、皮膚からのHPC(高感受性感覚器)反応と筋からの信号が収束することが特徴です。
一部のニューロンは筋収縮中に反応し、他のニューロンは収縮後に反応します。
この反応は、骨格筋内のAδやC感覚神経の特性によるものであり、これらの感覚神経は筋収縮や乳酸、代謝産物に敏感に反応します。

動作感覚器と代謝感覚器の役割

筋収縮に敏感に反応する感覚器は動作感覚器(ergoreceptor)、乳酸や代謝産物に敏感に反応する感覚器は代謝感覚器(metaboreceptor)と呼ばれます。
これらの感覚器は、組織代謝の要求に応じたり、筋作業に対する全身の恒常性調節や身体の部分的変化の統制に寄与しています。
運動機能亢進反射(exercise pressor reflex)とも呼ばれるこの反応は、筋活動中の身体の調節に重要な役割を果たしています。

筋収縮と痛みの関係

通常、骨格筋は痛みの行動的動機づけ信号なしに恒常的に調節されています。
しかし、その活動が高まると「うずく(ache)」や「燃えるよう(burn)」に感じたりします。
これに同期した活動で痙攣痛(こむらがえり、cramping sensation)が起こることがあります。
これらの痛みは、筋活動中に放出される乳酸や代謝産物によるものです。

脊髄後角第I層ニューロンと痛覚過敏

ラットの脊髄後角第I層中の一部のニューロンでは、セロトニン(serotonin, 5-HT)が脊髄内に放出されると、細胞内のcAMP依存性信号路を介してTTX-R Naチャネルが開き、Na+電流が増すために痛覚過敏が起こるという報告があります。
5-HTの放出は、末梢からの刺激や上位中枢からの下行性指令によって引き起こされます。

脊髄後角第II層のニューロンの分類

脊髄後角第II層(lamina II)は、膠様質(substantia gelatinosa)とも呼ばれ、有柄細胞(stalked cell)、小島細胞(islet cell)、分枝細胞(arboreal cell)、II-II層境界細胞(II-II border cell)の4型に分類されます。
これらの細胞は、痛みの感覚伝達に重要な役割を果たしています。

2024年05月28日 17:00

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